どうもかんだです。
今日は「今さら『人間失格』が読まれている話と、マーケティングの変化」について書きたいと思います。
結論からいうと、世の中のメッセージが「もっと頑張れ・理想の自分になれ」から「今の自分のままでいい」へ、静かに変わってきている。そんな話なんです。
その象徴が、80年近く前に書かれた太宰治の『人間失格』が、今になって若い人たちに刺さっていること。「これ、自分のことやん」と共感されているんですね。
『人間失格』が今さら刺さる理由
『人間失格』の主人公・大庭葉蔵(おおばようぞう)は、本当の自分を出せなくて、まわりに合わせて「道化」を演じてしまう人物です。もっと簡単にいうと、「嫌われたくないからずっとキャラを演じて、疲れ果ててしまう人」なんですね。
これ、今のSNSの世界とそっくりだと思いませんか?キラキラした生活を見せて、楽しそうな自分を見せて、ずっと“いい感じの自分”を演じ続ける。
「本当の自分を隠して演じるのに疲れた」という経験、ありませんか?
実際、X(旧Twitter)で「太宰治がおもしろい」という投稿をきっかけに読んだとか、今年あらためて読み返したという声が、あちこちで見られます。80年近く前の小説なのに、SNS時代の「他人の目が気になる」「自分らしく生きられない」という悩みにピタッと重なる。だから刺さっているんだと思います。
マーケティングも「理想」から「ありのまま」へ
おもしろいのは、この空気の変化が、広告のメッセージにもはっきり出てきていることなんです。昔の広告は、わりと「成功しよう」「勝とう」「もっと努力しよう」と、理想の自分をあおる方向が王道でした。
でも最近は、こういうトーンが増えてきています。
- 無理しなくていい
- 自然体でいい
- 完璧じゃなくていい
- 弱さがあってもいい
同じ「買ってもらう」がゴールでも、声のかけ方が真逆になってきているんですね。
「ハードに勝て」から「ソフトでも勝てる」へ
わかりやすい例が、スイス発のスポーツブランドOn(オン)です。2025年から「SOFT WINS(ソフト・ウィンズ)」というキャンペーンをやっています。
セサミストリートのエルモを起用して、「ランニング=ハードに自分を追い込むもの」という固定観念に、あえて疑問を投げかける内容なんです。心の健康のために走る、仲間と楽しく走る。そういう“ソフト”な走り方も、ガチで追い込むのと同じくらい価値があるよ、というメッセージですね。
スポーツブランドが「限界まで追い込め」と言わなくなった。これって、けっこう象徴的だと思います。
「完璧」より「ありのまま」が信頼される
もっと前から、この方向で動いているブランドもあります。たとえばダヴ(Dove)は、2004年から「リアルビューティー」という考え方を打ち出しているんです。
レタッチ(写真の加工・修正のこと)で作った“完璧な美しさ”は使わず、ありのままの姿を見せることにこだわっている。しかも、女性の自己肯定感を高めるプロジェクトまで立ち上げて、20年以上続けているんですね。
マクドナルドも「あなたと働きたい。」というキャンペーンで、いろんな個性や考え方の人に向けて「自分らしく働こう」と発信していました。“完璧な接客マシン”を求めるんじゃなくて、その人らしさを大事にする方向ですね。
じゃあ自分はどう活かすか
自分はマーケターなので、ここから何を持ち帰るか、で考えてみました。大事だなと思ったのは、この3つです。
- あおりすぎない:「今買わないと損」「もっと上を目指せ」と煽る手法は今でも効きますが、煽られ疲れしている人も増えています。「今のあなたで大丈夫」と肯定する声かけが効く場面が、増えてきたと思います。
- 完璧を見せすぎない:加工しまくった理想像より、等身大でリアルな方が信頼されやすい。これは自分が日記ブログを書いている理由と、まさに同じなんです笑
- 「誰が言うか」を大事にする:以前ブログでも書きましたが、今は「何を言うか」より「誰が言うか」で信用が決まる時代。だからこそ、ありのままの人間味が武器になります。
ちなみに以前、プロスペクト理論(人は得より損を大きく感じる心理)について書いて、「損を避けたい気持ちをくすぐる」のが売り方の王道だ、という話をしました。それも今でも有効だと思います。
ただ、それ“だけ”で押すと、今の空気だと少し息苦しく感じられることもある。「あおる」と「肯定する」を、相手や場面で使い分けるのが大事なんだろうなと思います。
まとめ
今日は『人間失格』の再ブームから、マーケティングの変化について書いてみました。ポイントは、世の中のメッセージが「理想の自分になれ」から「今の自分のままでいい」へ動いていること。
人はもう「最強になりたい」だけじゃなくて、「楽に生きたい」「疲れたくない」を求め始めているんですね。
自分も年齢を重ねるなかで、「もっと頑張れ」より「今の自分を受け入れて、少しずつ整える」方が長続きするなと実感しています。あおる時代から、寄り添う時代へ。
この感覚は、これからの発信でずっと意識しておきたいなと思います。
それではまた。

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